私は鳥山明先生の代用的な漫画『Dr.スランプ』から『ドラゴンボール』をリアルタイムで経験している世代です。
ドラゴンボールがすごく面白い!と思う反面、面白くない部分も知っています。
ドラゴンボール世代じゃない世代に「ドラゴンボールがたいして面白くない」っていう意見が出るのもなんとなくわかります。
ドラゴンボールを改めてはじめから読み直してみて、面白い部分と面白くない部分を分析してみたいと思います。
ドラゴンボールが面白くない理由
ドラゴンボールは、特にストーリーを綿密に前もって作って書き始めたわけではなく、悪く言えば行き当たりばったりで辻褄を合わせながら話が展開していきます。
ドラゴンボールは、ストーリがめちゃくちゃ面白いのかと言えばそうでもない気がします。
鳥山明先生の作品は、絵はすごく上手いけど内容がイマイチ面白くないというのも、デビュー当時のよくある感想のひとつのようでした。
ドラゴンボールが面白くなってくるのは、悟空でも勝てないような強敵が出てきた頃からです。
フリーザ、ベジータ、ピッコロなど、強敵も人気があるのが特徴です。
ドラゴンボールの世界観とは?
ドラゴンボールは、1984年51号から1995年25号まで週刊少年ジャンプに連載されていました。
テレビアニメシリーズは1986年から1996年までフジテレビ系列で『ドラゴンボール』、『ドラゴンボールZ』が放送され、現在も続編となるドラゴンボールの制作が進んでいます。
コミックが完結しても原作にはないアニメの新シリーズやゲームなどが生み出され、日本以外でも世界的に絶大な人気を誇る日本を代表する人気作品です。
初期のドラゴンボールの世界観はこんなところから始まります。
- ブルマという女の子が古い文献からドラゴンボールの秘密を知りひとりでボールを集め始める
- ドラゴンボールを7つ集めたら神龍が出てきて願いをなんでも叶えてくれる
- ドラゴンボールのひとつを悟空が持っていたためブルマの冒険に巻き込まれる
- 天下一武道会という格闘の大会があり、強者が集まって腕を競う
基本的にはこの設定からドラゴンボールの世界観が作られていくのだ。
鳥山明先生の漫画の特徴として、ドクタースランプでも同じくなんですが、ロボットがたくさん出てくる点がある。
未来的なバイクや車、船、飛行機などメカニックなディテイルに細かいのも特徴です。
メカニックなものが好きな人にはたまらない要素ですが、メカに興味がない人にとっては退屈な要素でしょう。
鳥山明先生はスターウォーズが大変好きらしく、デビューのきっかけとなった漫画もスターウォーズのパロディだったようです。
鳥山明先生の漫画には、いとも簡単に宇宙が登場したりします。
しゃべる動物やロボットもスターウォーズの世界観と共通します。
Dr.スランプの連載中はジャッキー・チェンのカンフー映画をずっと流しながら漫画を描いていたようで、カンフーが好きなのもそのままドラゴンボールの世界観にあらわれています。
ドラゴンボールの連載が打ち切りになる危機を当時の編集者鳥嶋和彦さんが暴露
ドラゴンボール誕生秘話も語られています。
Dr.スランプやドラゴンボールなどを育てた鳥山明さんの編集担当者、鳥嶋和彦さんの裏話はドラゴンボールが連載開始時は不人気だったことがうかがえます。
今でこそ「ドラゴンボールはおもしろい」と世界的にも評判ですが、漫画を読んでみるとストーリ自体がつまらないお話が結構あります。
鳥山明先生はもともとデザイナーやイラストレーターをやっていたので「原稿がきれいだった」「レタリングとかが上手く、新しさやセンスを感じた」と鳥嶋和彦さんは語っています。
鳥嶋和彦さんの目に留まったおかげで鳥山明先生は漫画家デビューのきっかけを掴みました。
ドラゴンボールが徐々に面白くなっていったのも、鳥嶋和彦さんと相談を積み重ねた結果なのです。
ストーリーの中で悟空が青年に成長して戦闘シーンにも迫力が出ます。
そして悟空とそっくりの悟空の息子・孫悟飯の登場で、かっこよさと可愛さを残すことに成功します。
Dr.スランプのDr.マシリトのモデルにもなった鳥嶋和彦さんが語る週刊ジャンプの裏話も面白いのでリンクをまとめておきます。
人気キャラクターに頼りすぎる展開
鳥山明先生はデザイナー出身で絵やコマ割りはすごく上手いのだが、話がイマイチ面白くないというところがあります。
それを打破するのがキャラクター自身の可愛さや面白さです。
Dr.スランプでも、アラレちゃんという可愛い女の子のロボットが登場して、このキャラクターに人気が出ました。
Dr.スランプにはその後もガッチャンという可愛いキャラクターが登場したり、キャラクター勝負なところがあります。
これはドラゴンボールも同じで、キャラクター自身の面白さ、可愛らしさが人気の理由のひとつとなっている部分があります。
ドラゴンボールの連載初期では、孫悟空自身の可愛らしさ以上に、ブルマの可愛らしさやおもしろさ、亀仙人のスケベさが物語の中心になってストーリーが進んでいきます。
ドラゴンボール本来の面白さが出てくる以前は、エッチさに頼っているストーリーがたくさんあります。
それはそれで面白いのです。
亀仙人がただのエロじじいじゃなくて、武道の達人だった!というのがおもしろいですね。
ドラゴンボールの初期では、ストーリーがつまらなくなってくると、突然ブルマと亀仙人のスケベなシーンが登場するのです。
これはストーリー自体はたいして面白くなかったと言えます。
人気漫画を作るには、キャラクター設定が非常に重要なことがわかります。
悟空によくあるパターン
- 悟空はかなり強いが最終的に負けることもある
- 悟空は勝つ時でも仲間に助けられることが多い
- 悟空は戦っている時よりも修行の方が多い(気がする)
- 悟空は戦いになかなか出てこなくて仲間がやられまくった後にギリギリで登場する
- 悟空は極悪人でも逃して再度対決するのを待つ
- 極悪人も悟空の仲間になる展開がよくある
悟空の体力が回復するまでだったり、修行中だったりを待つ展開が何度も出てきます。
主人公である悟空があまり出てこないシーンでは、やはり退屈する読者もいるでしょう。
その反面、悟空が登場すれば一気に面白さが上がる焦らしの要素もあります。
ギリギリでやっと悟空が登場するシーンは、わかっちゃいるけど泣けてきます!
ドラゴンボールの人気シリーズは?
ドラゴンボールの人気シリーズを集計した記事がありました。
その記事によると、オリジナル漫画に限定して人気シリーズを抜き出すと次のようなランキングでした。
- フリーザ編
- 魔人ブウ編
- セル編
- サイヤ人編
- 悟空とブルマ・修行編
- 天下一武道会・マジュニア編
- ピッコロ大魔王編
- レッドリボン軍編
- レッドリボン軍・占いババ編
ドラゴンボールを改めて読み直してみましたが、納得の面白さランキングです。
ちなみに私が面白いと感じるシリーズは、①フリーザ編②サイヤ人編③ピッコロ大魔王編④悟空とブルマ修行編⑤魔人ブウ編という感じです。
占いババ編、レッドリボン軍編はいまいち面白さに欠けてしまうと感じました。
占いババ編では退屈な展開の時に、ブルマのおっぱいポロリシーンが飛び出す強引な展開があります。
初期のドラゴンボールは、今じゃコンプラ的に問題になりそうな亀仙人のギャルへのセクハラ描写がたくさんありました。
当時の少年漫画はドラゴンボールに限らずエッチな描写が多かったのも事実ですね。
ドラゴンボールのシリーズごとにあらすじ紹介
ドラゴンボールを漫画で読むなら、フルカラー化されたカラー版がおすすめです。
フルカラーにより、漫画の一コマ一コマの立体感がはっきり出ており、モノクロ版よりもより迫力あるドラゴンボールを楽しむことができます。
カラー版はシリーズごとに別れてまとまっているので、好きなシリーズを楽しみやすいのも特徴です。
DRAGON BALL 孫悟空修業編
ドラゴンボールの中心となる孫悟空とブルマが登場し、後に仲間になる登場人物も始めは敵として登場します。
Dr.スランプから継続されるギャグ要素も強く漫画としては純粋に面白いです。
ブルマと亀仙人のエッチなやりとりも見どころです。
ブルマの『ぱふぱふ』も登場しますが、これはブルマではなくウーロンなんですよね。
初期のドラゴンボールは悟空よりも亀仙人やブルマの方が面白いです!
カラー版の2巻では1回目のドラゴンボール神龍の出現があります。
願いを叶えるのはなんと・・・〇〇〇〇なんですよね!
ドラゴンボール出現後も悟空が大猿になったりと、ドラゴンボールのストーリー上、大事なシーンが登場します。
巨大な登場人物と通常の登場人物が同じコマに登場するのですが、リアリティーのある奥行きのある立体的な描き方が天才的です。
また人物の服装などをはじめ、マシンや背景なども非常に凝って描かれており絵的には非常にクオリティが高いです。
ストーリーには登場しない恐竜やマシンの細部まで描かれた立体感と迫力ある扉絵は必見で、鳥山明先生のこだわりがよく現れています。
扉絵は鳥山先生のイラストレーターとしての才能とこだわりが楽しめます!
亀仙人、ヤムチャ、牛魔王、チチ、クリリン、ピラフ一味、ランチ、そして謎の人物ジャッキー・チュンが登場して迫力のある1回目の天下一武道会が開催されます。
天下一武道会が終わってドラゴンボールのテンションはマックスを迎えます。
DRAGON BALL レッドリボン軍編
天下一武道会後のドラゴンボールは一気にトーンダウンします。
悟空が祖父の形見である四星球を探して1人で旅に出る途中に、同じくドラゴンボールを集めているレッドリボン軍が登場。
ここにしか登場しない敵も多く、ターミネーターのようなロボット敵が登場したり、とにかく展開が退屈です。
ドラゴンレーダーが壊れて修理のために悟空はブルマの元を訪れます。
やっぱりブルマが出てくると面白さが増します。
ブルマの父親と母親はDr.スランプの則巻千兵衛と山吹みどりのオマージュのような感じもします。
それでも展開の中弛み感は否めず、ついに最終兵器?!Dr.スランプのペンギン村に悟空が行くストーリとなり、アラレちゃんをはじめ、Dr.スランプの登場人物がわんさか登場します。
悟空とアラレちゃんが一緒に描かれたコマは感慨深い感じがしました。
アラレちゃんがやっぱり可愛いです!
最強の殺し屋桃白白(タオパイパイ)が登場するのもレッドリボン軍編です。
修行の場となるカリン塔とカリン様が登場するのもこのシリーズです。
カリン塔での修行シーンは、ジャッキー・チェン映画でよくある修行シーンのオマージュのようで、そこも楽しめます!
2度目の神龍の出現シーンもあります。
占いババが登場するのもこのシリーズ。
どちらも鳥山先生が関わっていることもあり、何気にドラゴンボールとドラゴンクエストの世界観はリンクしていますね。
コツコツ成長して強敵を倒す。
ラスボスの形態が変化していくのもドラクエと同じです。
悟空と祖父の戦いは胸が熱くなりました!
DRAGON BALL ピッコロ大魔王編
修行の過程はすっ飛ばしていきなり天下一武道会開催から始まります。
謎の人物ジャッキー・チュンも再登場。
亀仙流の宿敵鶴仙流が登場し、天津飯、餃子(チャオズ)が登場します。
白熱のバトルを見せた天下一武道会は結構すぐに決着がつきますが、この後の展開が度肝を抜かれます。
クリリンが殺されて恐怖のピッコロ大魔王が現れます。
天下一武道会に勝った悟空もコテンパンにやられます。
ちょっと予想外の展開に続きが気になって仕方なくなります。
ピッコロ大魔王が神龍を呼び出して若さを取り戻してしまい、悟空たちは大ピンチをむかえます。
ピッコロ大魔王と悟空たちの迫力ある死闘は読み応えがあります!
クリリンや天津飯、チャオズが次々と殺され、武天老師までもやられてしまいます。
強すぎる敵が現れたら、それまでライバルだった者同士が結託して強敵に立ち向かうのもドラゴンボールの話のパターンです。
ここがドラゴンボールの面白さです。
強敵に立ち向かう度に悟空たちが強くなるのもおもしろいところです。
努力せず強くなることはないし、世の中楽なことばかりではない。
困難を乗り越えてこそ本当の強さを手に入れることができ成長できる。
ドラゴンボールや神様、ピッコロの秘密もピッコロ大魔王編で明らかになります。
そしてまた天下一武道会が行われ、青年になった悟空、桃白白、天津飯、チチ、マジュニア、クリリン、謎の人物シェン、ヤムチャが戦います。
大きくなった悟空が登場して、トーンダウンするどころかさらに盛り上がります。
ピッコロ大魔王が残した分身の強さも気になります。
少年期に出会ったチチが大きくなって登場するのも魅力的です。
「じゃあケッコンすっか!」「んだ!」の名シーンも登場します。
DRAGON BALL サイヤ人編
いつのまにか悟空とチチの間に子供もできて、ほのぼのとした展開は一瞬で終わり、ピッコロよりも悟空よりも桁違いに強いサイヤ人が宇宙からやってくる。
悟空の本当の名前を「カカロット」だと言い、自分は「カカロットの兄だ」というサイヤ人ラディッツが登場。
ラディッツのあまりの強さにピッコロと悟空は協力して立ち向かうが、悟空は・・・
主人公がやられるストーリーってなんなんだよ?!
ドラクエでも親子で戦ったり復活したり、これに似た展開があったな。
ドラゴンボールはなんでも願いを叶えてくれるので、1度くらい死んでも復活できるとは言え主人公が死んでしまうとは!!
なんでもありなのかよ。
天下一武道会とかカンフーの戦いが好きなファンなら、このぶっ飛んだサイヤ人という設定についていけなくなる人もいるでしょう。
私がそうでした。
でもじっくり読んでみると、ここからがめちゃくちゃ面白いんですよね。
悟空とベジータは兄弟なのかと勘違いしてしまいがちですが、漫画のストーリーからわかるのは、ラディッツとカカロットはバーダック(父)の息子たちということはわかります。
悟空とベジータはサイヤ人の生き残りというだけの関係です。
ベジータも悟空と並んで人気のキャラクターになります。
大人気のフリーザ編のあらすじ