私ではなく私の母の動脈瘤の手術についてレポートを残しておきたいと思います。
母が体調不良を訴えかかりつけの病院でレントゲンを撮ってもらい、肺に異常があるかもしれないということで精密検査を受け始めたことがはじまりでした。
そこから動脈瘤がみつかるまで3ヶ月ほどかかりました。
肺に癌らしきものがありその手術をするために頭の血管の検査も行い、そこで脳に大きな動脈瘤があることがわかりました。
専門的なことは医師に確認してください。
この記事は、脳動脈瘤の開頭手術から脳梗塞→リハビリ→回復までの期間や内容のひとつの参考にしてください。
脳動脈瘤クリッピング術とは
脳動脈瘤クリッピング術(のうどうみゃくりゅうクリッピングじゅつ)とは、脳動脈瘤(脳の血管にできるコブ状の膨らみ)が破裂するのを防ぐために行われる外科的手術です。
以下にその概要や手順、特徴をわかりやすく説明します。
脳動脈瘤とは
脳動脈瘤は、脳の動脈壁が弱くなり、血圧によって膨らんでできた「風船」のような状態を指します。
多くは無症状ですが、大きくなったり破裂したりすると、くも膜下出血を引き起こし、命に関わる危険があります。
クリッピング術は、このリスクを減らすための治療法の一つです。
クリッピング術とは
クリッピング術は、脳動脈瘤の根元(首の部分)を金属製のクリップで挟んで閉じる手術です。
これにより、動脈瘤内に血流が入らなくなり破裂を予防します。
主に以下の手順で行われます。
- 開頭手術
全身麻酔をかけた後、頭蓋骨の一部を切開して脳にアクセスします。
通常、動脈瘤の位置や大きさに応じて、適切な場所(例: 前頭部や側頭部)を選んで開頭します。 - 動脈瘤の特定
顕微鏡を使い、脳の表面を慎重に移動して動脈瘤を見つけます。
周囲の血管や神経を傷つけないよう細心の注意が払われます。 - クリップの装着
特殊なチタン製クリップ(形状やサイズは動脈瘤に合わせて選択)を動脈瘤の根元に装着。
クリップが動脈瘤への血流を遮断し、正常な血管の流れは維持されます。 - 確認と閉鎖
血流がきちんと止まっているか、クリップが正しく機能しているかを確認。
その後、頭蓋骨を元に戻し、頭皮を縫合して手術を終了。
特徴とメリット
- 確実性:クリップで物理的に閉じるため、再発リスクが低い(成功率は90%以上とされる)。
- 長期効果:一度成功すれば、追加治療が不要な場合が多い。
- 適応:中~大型の動脈瘤や、破裂リスクが高い場合に適している。
リスクとデメリット
- 侵襲性:開頭手術が必要なため体への負担が大きい。
- 合併症:出血、感染症、脳神経障害などが起こる可能性(発生率は数%程度)。
- 回復期間:入院期間は1~2週間程度でリハビリが必要な場合も。
開頭手術では死亡のリスクはゼロではないので、手術を受ける際はその病院の脳動脈瘤の死亡率や医療事故の有無などをよく調べましょう。

私の母の場合、開頭手術を行なった際に起きた脳梗塞の影響でリハビリ期間を含めて5ヶ月の入院となりました。
幸い後遺症もほぼなく元の日常生活を送れています。
難しい手術を腕のいい医師が担当してくれたおかげだと思っています。
他の治療法との比較
脳動脈瘤の治療には、クリッピング術以外に「コイル塞栓術(血管内治療)」もあります。
- コイル塞栓術:カテーテルを使って動脈瘤内にコイルを詰め、血流を止める方法。開頭しないため負担が少ないが、再発リスクがやや高い。
- クリッピング術:直接的な手術で確実性が高いが、適応は動脈瘤の位置や形状に依存。
医師は、患者の年齢、動脈瘤の大きさ・位置、破裂の有無などを考慮してどちらを選ぶか決めます。
カテーテル手術の成功率は低く再発リスクは高い。
星野源さんの場合、はじめにくも膜下出血で倒れた時はカテーテル手術を行なっており、のちに再発しました。
その後に開頭手術をして現在は完治しています。

母が脳動脈瘤の手術を受けることになって改めて星野源さんの「蘇る変態」を再読しました。
一度読んだ時よりも脳動脈瘤の手術について、より深く知ることができました。
私の母の場合
私の母の場合は、未破裂動脈瘤の手術を行いました。
予定では2週間ほどの入院期間で済む手術でしたが、結果的に転院後のリハビリを含めて退院まで5ヶ月ほどかかりました。
なぜこんなに長期間の入院になったのか説明します。
私の母の場合、動脈瘤は15mmほどあり、手術を検討する大きさの目安である5mmの3倍もある動脈瘤ができていました。
この時点で難しい手術であることはわかっていました。
幸い腕のいい先生が執刀医についてくれたのが本当によかったです。
事前検査と計画では、クリップ術とバイパス手術を同時に行う予定でしたが、開頭してみると動脈瘤部分はクリップできる状態ではなかったそうです。
バイパス手術を先にするのも難しい状態だったらしく、血流を一時ストップして動脈瘤を切除してから新しい血管をつける手術をしました。
その際に左脳に中規模の脳梗塞が起き、右半身が麻痺しました。
手術したドクターの見立てではもう少し早く麻痺が回復する見込みだったようですが、麻痺は3週間続きほぼ寝たきりの状態が続きました。
栄養と水分は鼻から摂り、食事も水も口からは摂れない状態が続きました。

母が寝たきりの状態が3週間ほど続いた時が私自身精神的にきつい時期でした。
3習慣経過したぐらいから麻痺していた右半身も少し動くようになり、食事もできるようになり徐々に体の動きも回復していきました。
1ヶ月後にリハビリ病院に転院しました。
声が出ず会話もできない状態は術後1ヶ月ほど続き、声が少し出るようになったのは手術から1ヶ月後ぐらいでした。
3ヶ月後ぐらいには自立歩行もできるようになり、入浴、洗濯や家事などのリハビリも行いました。
トータルの入院期間は5ヶ月弱となりました。
脳梗塞から劇的に回復した理由は、脳細胞が完全に壊死した状態ではなく細胞死を逃れている状態だったので、ほぼ元の状態にまで回復したのだと思います。
脳動脈瘤を偶然見つけることができていなかった場合、急に倒れて重篤な状態になっていたかもしれません。

手術部分に関して先生は、脳内出血などの再発の可能性はゼロとおっしゃってました。
リハビリで回復期に入ってからはどんどんできることが増えていったので、ようやく安堵しました。
ペナンブラとは
ペナンブラとは、脳梗塞発症後に血管が詰まり血流量が少なくなりながらも、まだ壊死に至っていない領域のことです。
私の母の場合、うまくこの状態で手術できたから長期間のリハビリを要したけど脳の状態が回復できたのだと思います。
医療費・高額療養費制度について
開頭手術やバイパス手術は高度で高額となる手術なので、1回の手術で数百万円かかります。
健康保険が使えないととてもじゃないですが支払えません。
幸い私の母は70歳以上で、年金生活で収入が少ないので高額療養費制度が使えて、住民税非課税世帯であることもあり医療費限度額は入院や手術が月15,000円、外来費用は月8,000円でした。
高度な手術でも検査入院でも上限は15,000円なので非常に助かりました。
月15,000円なので月を跨いでしまうと総費用は30,000円必要でした。
その他の食費や着替えなどのリース代の諸経費は別に必要ですが、これも安く済みました。
70歳以上と69歳以下では負担額が大きく変わるため、手術時期も慎重に検討しましょう。
お住まいの市役所で『高額療養費制度』について確認し、限度額適用認定証の申請をましょう。
また、75歳からは『後期高齢者医療資格確認書』という種類の違う国民健康保険に切り替わります。
術後の生活とリハビリテーション
脳動脈瘤の手術後に神経症状(運動障害、言語障害、記憶力の低下など)が残った場合、リハビリテーションが必要になることがあります。
- 運動障害の改善では理学療法士手足の筋肉系のリハビリ
- 作業療法士による着替え、トイレ、入浴、料理などの手先を使うリハビリ
- 言語聴覚士による言語や食事のリハビリが必要となります。

私の母も、この3つのリハビリを日々行って回復しました。
母が4ヶ月のリハビリで行ったこと
私の母は手術を行なった病院で1ヶ月、リハビリ病院で4ヶ月ほどの入院をしました。
手術を行なった病院では3週間寝たきりだったので筋力は落ち切っていました。
リハビリ病院では筋トレのようなリハビリで筋肉量が増え筋力も回復していきました。
会話でははじめは声も出にくく考えもまとまらないため、単純な受け答えしかできませんでしたが、リハビリを重ねるたびに声は大きくなり、会話も噛み合うようになってきました。
ただ、左脳が脳梗塞になった影響で前頭葉に少し障害が残り、深く考えることが苦手になったようです。
前向きに捉えるとポジティブ思考になって、いわゆる右脳人間、明るい性格になりました。
認知面では多少おかしなところも残りましたが、もともと天然な部分もあり手術前とあまり変わらない様子ではあります。
物忘れが激しいというより、あまり深く考えない様子になりました。
脳動脈瘤手術後の生活の変化
脳動脈瘤の手術が成功しても健康面の配慮は必要です。
喫煙や飲酒は高血圧のリスクを高めるため、生活習慣の見直しは必須です。
必要なリハビリテーションの方法
個々の状態によりリハビリのプランは違いますから、ケアマネージャーや介護療法士と相談して最適なリハビリプランを立てましょう。
介護保険の利用も検討しましょう。

介護保険の使い方や介護住居改修の申請も自分でやったので、その方法もまたまとめますね。
後遺症の回復期間
脳に後遺症が残ったっばいの回復期間の目安は6ヶ月だそうです。
脳の著しい発達が起きるのは障害が起こってから6ヶ月程度で、それ以上は発達具合は低下していくようです。
医療機関でのフォローアップ
退院後もケアが必要な場合、デイサービスや訪問介護を利用してリハビリを行なっていきます。
退院後に突然の頭痛、視力低下、手足のしびれなどが起きた場合、すぐに医療機関を受診してください。
脳動脈瘤の再発率と予防
脳動脈瘤の再発率は、手術方法や動脈瘤の状態、患者さんの生活習慣などによって異なります。以下に主な治療法ごとの再発リスクをまとめます。
クリッピングは動脈瘤の根元を金属クリップで閉じる方法で、一般的には再発率が低いとされています。
再発率は約 1~3% と報告されています。
コイル塞栓術は動脈瘤内にコイルを詰めて血流を遮断する治療法です。
再発率はクリッピングに比べやや高く、約 10~20% とされています。
動脈瘤のサイズが大きい場合や、完全に詰められなかった場合に再発リスクが上がります。
術後に動脈瘤が再び血流にさらされる「再疎通」が起こることがあります。
一度治療した場所とは別の部位に新たに動脈瘤ができるケースもあり、これを含めた全体的な再発リスクは生涯で 5~10% 程度と考えられています。
再発を防ぐためのポイント
再発を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げるために以下の対策が推奨されます。
- 禁煙:喫煙は動脈瘤の形成や破裂リスクを高めます。禁煙することで再発リスクが大幅に下がります。
- 飲酒の節制:過度な飲酒は血圧を不安定にし、血管に負担をかけるため、適量を守ることが大切です。
- 血圧管理:高血圧は動脈瘤の原因の一つです。食事(減塩)や運動、必要に応じて薬で血圧をコントロールしましょう。

そういえば私の両祖父の死因は飲酒による脳卒中で60代ごろに亡くなっています。
定期的な検査の重要性
術後も定期的にMRIやCT、血管造影などで血管の状態をチェックすることが推奨されます。
特にコイル塞栓術後は、数ヶ月~数年ごとに経過観察が必要です。
新たな動脈瘤の早期発見が再発による破裂を防ぐ鍵となります。
ストレス管理
過度なストレスは血圧上昇につながるため、リラックスする時間を持つことや、軽い運動(医師の許可を得て)が効果的です。
遺伝的要因への配慮
家族に脳動脈瘤の既往がある場合、遺伝的リスクが高い可能性があります。
医師と相談し定期的なスクリーニングを検討するのも一つの方法です。
動脈瘤の原因と発症メカニズム
脳動脈瘤は、脳の動脈壁が弱くなり、そこが風船のよう膨らんでしまう状態です。
その原因は単一ではなく、いくつかの要因が絡み合って発生すると考えられています。
動脈瘤が発生する要因
先天的な要因
- 動脈壁の生まれつきの弱さや構造的な異常が関与している場合があります。特に、動脈が分岐する部分は血流のストレスを受けやすく、動脈瘤ができやすいとされます。
- 遺伝的な素因も指摘されており、家族歴がある人はリスクが高い傾向があります(例: 多発性囊胞腎や結合組織疾患との関連)。
後天的な要因
- 高血圧:長期間にわたる高い血圧が動脈壁に負担をかけ、弱化させます。
- 喫煙:タバコに含まれる化学物質が血管壁を傷つけ、動脈瘤の形成を促進します。
- 動脈硬化:コレステロールの蓄積や血管の老化が、動脈壁の弾力性を失わせる一因となります。
- 外傷や感染:まれに、頭部外傷や細菌感染(例: 心内膜炎による菌血症)が動脈壁を弱めることがあります。
生活習慣や環境
- 過度な飲酒やストレス、肥満なども間接的に血管に負担をかけ、リスクを高めるとされています。
未破裂脳動脈瘤の管理
手術せずに経過観察を選んだ場合、小さな動脈瘤(7mm未満)では破裂リスクが年間 0.5~1% 程度とされますが、大きさや形状によってはリスクが増すことがあります。
脳動脈瘤の手術実績
私の母が手術を受けた病院(あえて病院名は公表しませんが)では、2022年度は破裂動脈瘤の手術が4件、未破裂動脈瘤の手術が13件、バイパス手術が7件だそうです。
脳腫瘍の手術が同年204件と比較すると脳動脈瘤の手術件数は非常に低いです。
まとめ
脳動脈瘤の原因は「先天的な血管の弱さ」と「後天的な生活習慣や環境要因」の組み合わせで、発症メカニズムは「血流ストレスによる動脈壁の劣化と膨張」です。
予防には血圧管理や禁煙が鍵となり、リスクが高い場合は定期的な検査で早期発見を目指すことが重要です。
私の母の場合、まったく別の検査の途中で脳動脈瘤があることがわかり手術に至りましたが、普通は見過ごしてしまっていたかもしれません。
偶然動脈瘤が見つかったこと、名医に出会ったことで手術も成功し、本当によかったと思っています。
執刀医、検査してくださいった看護師さん、リハビリを頑張ってくれた介護療法士さん、心配してくださった親戚やご近所の方たちにも改めて感謝です。
