筋肉少女帯の歌詞考察 大槻ケンヂ氏の独創的奇妙な世界観

筋肉少女帯の歌詞考察
筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏の詩世界は、どろどろとしたオカルトチックな内容のものがたくさんある。
彼自身、オカルトやホラー、超常現象などに熱心でそれが反映されている。
何か怪談や怖い話を聞かされているようで、それが魅力のひとつだ。
釈迦(シャカ)
筋肉少女帯のファーストアルバム『仏陀L』に収録されている「釈迦」という曲。
誰しも仏教の開祖、ブッダを思い浮かべるだろう。
だがしかし、釈迦というのは後付けで、元々は「シャララシャカシャカ」というフレーズが出来上がっていて、それで「釈迦」にしたらしい。
そもそも、インディーズ時代にナゴムレコードから発売された『とろろの脳髄伝説』に収録された「釈迦〜とろろの脳髄」という曲だ。
原曲は歌詞も若干違うのである。
原曲を聞けばアンテナ売りが釈迦という名前になった由来がわかる。
アンテナ売りが建てたアンテナからは「シャララシャカシャカ」と電波が出るのだ。
だから彼は娘にとっては釈迦なのだ。
14歳で頭がおかしいけど可愛い成金の娘は、釈迦に依頼して博物館の上にアンテナを立てるのである。
この娘は、丘にひとり座って、娘なのに古ぼけているらしい。
その娘は、アンテナ売りが気に入ったのか「アンテナ売りが落ちてきたら受け止めてあげる」とまで言うのである。
屋根の上でアンテナを立てていた男は、足を滑らせて屋根から落ち、娘の上に音を立てて落ちるのである。
娘の頭ははじけて脳髄がとろろと飛び出すのである。
おそらく娘は死んで、アンテナ売りは助かったのだろう。
「釈迦」は何も思い通りにはいかない、人生における「不条理」を歌っている。
それにしてもスラッシュメタル風の曲調とおどろおどろしい歌詞がマッチした名曲である。
アンテナ売りの男
初期の筋肉少女帯の歌の中によくでてくる、アンテナ売りの男とは?
アンテナ売りの男が出てくる歌は「釈迦」「いくじなし」「僕の宗教にようこそ」などがある。
「僕の宗教にようこそ」によると、アンテナを立てると元気が出てオペラを歌い出すらしい。(当時のテレビの活気のよさを表していると思う)
時代背景は、まだテレビが珍しかった昭和初期だと考えられる。(現代なら格安モバイルSIM売りになるんだろうなぁ)
アンテナ売りの元ネタになっているのは、レイブラッド・ベリの小説の登場人物だとか、江戸川乱歩の小説の登場人物だとか言われている。
釈迦MV
メジャーで出たMVは、電気ノコギリを振り回した大槻ケンヂ氏が女性を追いかけまわすという、オカルトチックな内容になっている。
大釈迦
「釈迦」は1989年、「大釈迦」は2007年発表されている。
大釈迦のMVは、結成10周年記念作品で、それまでの筋肉少女帯の総決算的内容で、釈迦大団円とも思える。
歴代バンドメンバーによるギターソロ回しでブチ上がる。
釈迦(あつまり)
もともとのレコーディングは、ニューウェイブ感あふれるチープなレコーディングだった。
これはこれで、非常にエモい!
後半に「こめこめー」と言っているのがわかる。
「釈迦」のレコーディング音源は多数存在し、違いを聴き分けるのも一興!
ライブ版も含めると何曲リリースされているのかわからないぐらいいっぱいある。
配信でない場合はメルカリで探してみるといい。
「マタンゴ」にでてくるキノコ人間とは?
「マタンゴ」という歌にキノコ人間が出てくる。
この元ネタになっているのが「マタンゴ」という東宝映画らしい。
7人の男女が無人島に遭難してしまう。
その島はキノコだらけだが「キノコを食べるな」というメッセージをみつける。
だがしかし、食糧難の飢餓状態からキノコを食べてしまう。
するとキノコ人間へと化けてしまうのだ。
キノコを食べてダークサイドへ落ちるか、人間として生き延びるのか?
最後に生き残った男は「キノコ人間になった方が幸せだったのではないか?」と思うのである。
筋少のマタンゴの歌詞に戻ろう。
筋少のマタンゴの歌詞に、呪いの館とタマミちゃんが登場する。
「呪いの館のタマミ」とは、梅図かずお先生の漫画「赤んぼ少女」の登場人物、珠美らしい。
タマミは歳を取らない女の子らしい。
「釈迦」に登場する古ぼけた少女とリンクするが、アンテナ売り然り、同一人物ということっではなく、別世界のパノラマワールドであると思う。
筋少のマタンゴは、「キノコ人間」と「のろいの館」の世界観が混ざった恐ろしいお話。
キノコにまつわる歌「キノコパワー」
「キノコパワー」という歌詞はもともと「GO WEST」と歌っていたらしいが、ファンが「キノコパワー」と聴き間違えたらしく、そっちの方をとったらしい。(ソースはよくわからない)
「キノコパワー」には、リュックサックに詰められる猫が登場し、この猫は大槻ケンヂ氏の歌詞に度々登場する。
夜明けに貨物列車に潜んで、行ける亡者の街から逃げる人の歌。
ララミー
この曲も何度もレコーディングされている。
ララミーという牧場の少女が少年によって陵辱されてしまい、さらにはキノコと一緒に埋められてしまうという不条理な話である。
ララミーとは、アメリカのテレビ映画「ララミー牧場」(西部劇)から取られているらしい。
デューク・エイセスが歌う曲がある。
まとめ
大槻ケンヂ氏が描く不条理な世界は、不条理に終わり、「それでも生きていかなければならない」と、絶望から始まる逆ポジティブなメッセージが隠されているかもしれない。
独特な登場人物や世界観に惹き込まれてしまう筋少沼だ。





