孤高のシンガーソングライターダンサー岡村靖幸にみる純愛とは?!
こんばんは ぼくが夜の家庭教師です。
岡村靖幸の家庭教師を通じて純愛男子の心理を分析したいと思います。
岡村靖幸の問題作『家庭教師』を聴きながら読んでいただけると幸いです。
岡村靖幸『家庭教師』全曲解説
曲の構成も素晴らしい。
アップテンポの曲の後にスローテンポの繰り返し。
時に爽やかに時に甘く、時にドロドロの狂気で感情を揺さぶり、聴く人の心を鷲掴みにするのだ。
岡村靖幸の名盤『家庭教師』の全曲レビューと参りたいと思います。
岡村靖幸
1965年8月14日(神戸市)生まれ。
父はエールフランス勤務。
幼少期は大阪府、ロンドン、福岡県太宰府市、新潟県、東京都などを転々とした。
おぼっちゃまですよね。
幼少時代の太宰府でのエピソードは、笑っていいとも!に岡村ちゃんが出演したときのエピソードが有名です。
1990年 4thアルバム『家庭教師』純愛を求めすぎるあまり混乱する人間心理
今までのお調子者で軽いノリの変わり者だった岡村ちゃんが、ギトギトドロドロのど変態グチョグチョファンクを展開する地獄絵巻的名作。
どうなっちゃってんだよ
「引きこもってちゃ、好みのギャルと出会う機会も失せるぜ」
「好きだと言えないくせに、好きって死ぬほど言ってもらいたがってるんでしょ?」
そんな風に岡村ちゃんは歌う。
流行の雑誌の恋愛ハウツー通りにやれば、マニュアル通りにやれば、俺もモテちゃうんでしょ?モテまくっちゃうんでしょ?!
なんて煩悩炸裂。
俺はまだ本気出しいてないだけ感を強烈に匂わせる勘違い野郎を演じる岡村ちゃん。
モテるはずなのに実は何故かモテナイ、どうなっちゃってんだよと歌う。
カルアミルク
もう恋人だろうと電話さえしない、ケンカや別れ話さえLINEで済ませてしまう現代では「電話なんかやめてさ、六本木で会おうよ」という思いも未読スルーされてしまう気がする。
お酒が弱い女子が飲む印象のあるカルアミルクで乾杯しようという。
「俺は大人ぶってバーボンソーダを飲めるようになったけど、あんまり美味しいと思えなくて、君のことを思い出して頼んで飲んだカルアミルクを飲んでみたら、なんだか泣けてきちゃった」と情けなくも可愛い男の心情を暴露する。
カルアミルクで乾杯しよう そうすれば僕らはやり直せる。
(E)na
キラキラ女子に貢ぎまくってクレジットカード使いまくってキラキラ男子を演じる哀れな男。
お金持ちがくれる宝石より僕の方が素敵でしょう、高飛車そうなバブリー女だけど彼氏になりたいと熱望する。
あれこれ欲しがってるけど、「本当に大事なキス」は僕だけの限定販売!どこにも売ってないんだから!と面倒臭いアピールをする。
大事なのは物欲よりも人間性でしょ。
マテリアリズム(唯物論)よりイデアリズム(観念論)。
二元論の大戦争。
でも「かっこいいな、あれいいな、これいいな」と欲しがってばかりの女を、貢ぎまくってでも振り向かせたいこの男も煩悩の奴隷。
僕に振り向いてくれれば、本当の愛がわかるはずさとダンスしても、何故かうまくいかずにバックスピンで振り出しに戻るレコードの逆回転音。
家庭教師
たぶん23歳、なのに親に毎月30万も仕送りたんまりしてもらって遊びまくってるエリコ。
場所は赤羽サンシャイン。
永遠に卒業する気がない大学生エリコの元に家庭教師として派遣された最終家庭教師、靖幸。
設定がカオスすぎて本当にこの解釈でいいのか迷う(笑)
しかし有無を言わせぬ世界観で聴衆を引き込む。
このワガママ娘に教えることといえば大人の教育、ベッドの上で愛の教育。
僕の高層ビルディングを撫でさせてあげようか。
さぁどうするエリコちゃん。
まずは手相を見てあげようか。
怪しい旋律は僕のリビドー。
お金を使わなくても幸せになれる方法を教えてあげるよ一晩中。
「僕はベッドの中じゃね、すごいって日本じゃ有名なんだよ」という名言を吐く。
お金の快楽に溺れるエリコと肉欲に溺れる最終家庭教師、靖幸。最終家庭教師はエリコちゃんから金欲から救ったのかもしれないが、今度は肉欲という地獄に落とす。
どちらも強烈に勘違いした観念の中、突然の終劇。
あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔するだろう
家庭教師とは打って変わって、ここは青春のバスケットコート。
あともう15秒でこのままじゃ35連敗。
具体的な数値がやたらリアリティーを匂わす。
誰もが負けだと諦めるこの瞬間、靖幸だけは『あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔するだろう』と妄想する。
試合に勝つためじゃなく、あの娘だけがみてくれればいい、あの娘だけに届けばいいという超個人的なカッコつけ。
だけどそれってものすごく大切なことなんじゃないかな。
青春って1・2・3ジャンプ あばれまくってる情熱
あの娘だけの汗まみれのスター
物や金で着飾るんじゃなく、ほんの一瞬に全力投球する青年
寂しくて悲しくて辛ことばかりなら諦めてかまわない
大事なことはそんなんじゃない
失敗しまくって苦しくて、頑張って頑張っても上手くいかないことってあるよ。
そんな時はスッパリ諦めてもいいんだよ。
ここにきて本当に人間が輝く一瞬を説く靖幸。
前半の煩悩と欲まみれや葛藤の4曲はこの曲を聴かせるために用意した暗黒のストーリー。
天使たちのコーラスとブラスバンドで全ての葛藤が昇華する。
まるで永遠に老いることのないような青臭い笑顔を見せる岡村靖幸の代表曲となる。
そこに生きることの真理がある。
今をガムシャラに生きるって
何よりも素晴らしいじゃない
今この瞬間を思いっきり飛ぼう。
祈りの季節
お金持ってても幸せになれないのは何故だろう?
お金持ってても好きな人は離れていってしまうし。
眠れない夜はきっと神様が君にメッセージしてる。
恋人が去ってから、僕は眠れないんだ。
結婚して世界中いろんなところに行ってみて、イチャイチャして愛し合って子供作ろうよ。
みんな子供作らなかったら老人ばっかになっちゃうよ。
そんなんじゃ社会はどうなるんだよ。
そんなことを一方的に妄想してた男は、去っていった女に対して、セックスしても子供を作らないのは、赤ちゃんよりも大事なのは結局自分だからでしょうと嘆く。
ビスケット Love
先輩の彼女から「学校フケてバスでどこか遠くに行こう」と誘いをウケる。
誘いに乗りたいけど乗れない。失敗したら先輩にもすぐバレる。
でも先輩の彼女は息をのむほど魅力的で出来ることならイっちゃいたい。
ついには一緒にバスに乗ってしまう。
「あなたがセフレなら最高に楽しそう」と耳元で呟く先輩の彼女に、靖幸ちゃんがビクリと反応する。
イチャイチャしたいけど僕が思ってるのはそんなんじゃない!そんなんじゃなくて、青春てもっとほらこう・・・・
「ええぃ!神様!今回の情事だけはお許しください!許してください!」と甘い誘いを受け入れる。
「僕のチャームポイントは身体だけ?そんだったら、いぇいぇNO!!違うんならオーイェィYES!」と強がる。
セックスだけじゃなくて、いろんなことして過ごそうよ、って純愛を振りかざしても先輩はそんなの面倒臭くてセックスにしか興味がない様子。
仕方なく「今日は学校どうだった?」って聞く。
ヤリまくりたいけどそうじゃないんだと格好つける。
歌詞を楽しむために覚えておきたい6つの隠語
女性を食べ物に例えることが多い。覚えておくと歌詞が数倍楽しくなります。
- Sweetpie(スウィートパイ) 妻や恋人
- Cookie(クッキー) 魅力的な女性
- Biscuit(ビスケット) 俗っぽい女性
- Peach(もも) かわいい女性
- Cherry(さくらんぼ) 処女・童貞
- Tuna(まぐろ) 処女
ステップ UP↑
「ステップ UP↑するために倫社と現国を学びたい」と歌う。
哲学と言葉の意味を知ることでステップアップしたい。
愛や真実を知る上では必須科目でしょうと主張する。
成功者の僕が言うんだから信用しようよって。
有名になった僕が言うんだからって。上から目線のナルシズム。
びしょ濡れでいいじゃない 手をつないで歩きたい
どんな格好してても濡れちゃえば、みんな同じ
そんな君と僕が手を繋ぐって素敵だよね
そうじゃないの?これって青臭いことなの?!ただの理想論なの?!
俺を見ておまえらいろいろ言ってるけど、たまには俺みたいなやつらがお前らのことをどんな風に見てるのか想像してごらん?想像できる?
お前がいなけりゃお金なんて紙クズだぜ。お前がいなけりゃ俺なんて紙クズ。お金持っててもしょうがない。お金と名声と愛の間で混乱する男。
ペンション
学校でもあまり話したことがない女の子に、雑誌に載ってたペンションに連れてってと頼まれる。
なんでなんだろうと疑問に思う。
でも僕よりも考えてることは大人っぽいんだね
。高校生ぐらいの男女は、どこか女の子の方が早熟で、男子は敵わないやと子供っぽい自分を平凡だと思う。
粋がってみたけど本当は平凡な自分が悲しい。君のために歌のひとつでも作ってみたい。
素敵だぜ いつか青春を振り向いた時 最高の夏 そして一番美しく心に灯たい
いつかすべては思い出になって、心に淡く仄かに輝くものだろう。
人間心理を赤裸々に紡ぎ出したアルバム『家庭教師』は僕らに真実を突きつけたのだ。
まるで十字架のように。
圧倒的な世界観に僕らは訳も分からず純愛を求めてこのアルバムを聴き続ける。
愛を欲しがってもいいものだろうか?
愛の意味はなんだろうか?
今も分からないでいるけど、よごれたり、けがれたり、時に輝いたりしながら、真実の愛を探し求めることが人生そのものではないだろうか。
迷い続けろ
悩み続けろ
考え続けろ
泣き続けろ
叫び続けろ
踊り続けろ
そして輝け!
暗闇で輝いてるのがスターなんだぜ。
岡村靖幸とプリンス
プリンスのグラフィティブリッジというアルバムは1990年8月に発売されている。
家庭教師の発売が1990年11月。
ジャケットのアートワークに影響をうけた感じがうかがえる。
プリンスの曲と酷似している曲も多々あるが、プリンスのアルバムリリースと比較すると岡村靖幸の方が先に曲を出しているなんてこともある。
FUNKに目覚めた男が作る曲は似てくるのか?
それともブートレッグをマメにチェックしているのか?
それにしてもFUNKの日本語変換して体現するあたりはさすがである。
岡村ちゃんがプリンスのシンボルでもあるクラウドギターを抱えて出演したJUST POP UPも有名である。
岡村靖幸 LIVE 家庭教師 ’91 DVD
アルバム『家庭教師』を再現したど変態ステージを真空パック、岡村ちゃんがもっともキムタクに似ている頃
エリコちゃんとのド変態妄想行為を、パープルなブリーフでプリプリの岡村ちゃんのヒップを見せつけるところなど、ドン引きすること間違いなし。
でもね「カルアミルク」や「あのロン」で泣いちゃう。
残念ながらプレミア化しております。
次は岡村靖幸 全アルバムレビュー
岡村靖幸 アルバムレビュー
岡村ちゃんの名盤・名曲紹介
1989年 3rdアルバム『靖幸』家庭教師前夜
靖幸的『Parade(プリンス)』 煩悩・純愛・自己愛
ヒット曲『だいすき』収録
靖幸的名曲が多いPOPさが弾ける名盤
1988年 2ndアルバム『DATE』靖幸的『1999(プリンス)』 19から始まりパープルに染める徹底ぶり
ヒット曲『Super Girl』収録、多くのファンを獲得した。
天才眠りから覚める
長いインターバルの後に発表されたアルバム
名盤『家庭教師』の完成度を超えるのが難しかったのがうかがえるが名曲多し。
1987年 デビューアルバム『Yellow』靖幸的『For You(プリンス)』非凡な才能を証明
ソングライターからシンガーソングライターダンサーへ。
名曲デビュー曲『Out Of Blue』収録、初々しいアルバム。
弾ける『Young Oh!Oh!』『冷たくされても』諦めないでシティーポップなカーステレオでドライブしたい。
『Check Out Love』で切なくチェックアウト『はじめて』で泣き崩れる。
岡村ちゃんが優れた作曲家であることを証明するデビューアルバム
PS:ビジュアルが大槻ケンヂさんに激似の時代
1995年 5thアルバム『禁じられた生きがい』
長らくお隠れになっていた岡村靖幸の久しぶりの問題作!
空白期間にリリースされた曲のベスト盤的アルバムにしあがっちゃったけど、やっぱり『あばれ太鼓』でテンション爆上がりして『青年14歳』の夢精が爆発する。
そう、あのモヤモヤがサクソフォンと共に爆発スイングする。
ベストシングばかりなので必聴アルバムです。
すいません、この頃のライブ、激ヤバでした!
数曲歌ってはステージの奥に引っ込む。
体力落ちちゃってんのかなって感じの痛々しい岡村ちゃんでしたが「がんばれ!」って感じで応援したくなる、そんな人なんです岡村ちゃんは。
私は岡村ちゃんのピアノの弾き語りでいつも泣いてた。
2001年 ベストアルバム『Oh!ベスト』
お隠れになっていた間にポツポツと発売された『ハレンチ』『セックス』『真夜中のサイクリング』『マシュマロハネムーン』なども収録されたベスト盤。
岡村靖幸入門といえる。
2004年 6thアルバム『Me-imi』靖幸さらに変貌「新しい朝です」
この頃の岡村ちゃん、逮捕歴がついて身体に脂肪もついて、ちょっとイカれたおぼっちゃんが、ほんとにヤバイ感じのひとになっちゃって、サウンドも理解不能なヤバさを醸し出します。
360度ヤバイって感じです。
『5!! モンキー』『ア・チ・チ・チ』など、今までに聴いたことのない斬新な音作りと歌詞。
現在の岡村サウンドの輪郭がくっきりと出た尖ったリズムと脳髄直撃の低音FUNKベースサウンド。
こんなサウンド、ありそうでない。
「あの・・・その・・・レッツゴー!」って全部ケムに巻かれる。
何かいい言いたげだけど本当のことは言わない。
だって本人にもわからないんだもの、たぶん。
岡村ちゃんの挫折と再起・・・(涙)
岡村靖幸 3度の逮捕歴
ぼくらは信じたかった、岡村ちゃんを。
しかし、ニュースでは3度目の覚せい剤取締法違反による逮捕が報じられた。(2008年2月5日)
岡村靖幸が薬物事件での3度目の逮捕がオフィシャルサイトにて発表、全国ツアーは中止に
- 2003年3月 東京地裁に於いて懲役2年・執行猶予3年の有罪判決
- 2005年4月 覚せい剤取締法違反により2度目の逮捕
- 2008年2月 覚せい剤取締法違反(所持)容疑で3度目の逮捕
正直、3度目の逮捕の時はもうダメかと思いました。
でもその度に岡村ちゃんを待つファンがいて、支えてくれる周りの環境があったり、人気の根強さを見せつけられる。
たぶん、岡村ちゃんはなんか助けられる人なんだろう。
2010年にMySpaceというSNSの公式ページに「パラシュート★ガール」のデモソングがアップされた時も何とも言えない感動があった。
その他の未発表音源もいくつか公開されていた。
岡村ちゃんが円滑に活動できなくなった背景には尾崎豊の死(1992年4月)があったように思う。
岡村ちゃんが先輩として慕っていた尾崎豊の死は、岡村ちゃんになんらかの影響を与えていたのではないかと勝手に思っている。
1990年に天才的アルバム『家庭教師』が発売され、その後1995年に『禁じられた生きがい』が発売された。
その後、アルバム『Me-imi』が発売されたのは2004年なのだ。
当時の岡村ちゃんのインタビューなどを読んでも、歌詞にこだわるあまり楽曲が完成しないというスランプに陥っていたようだった。
だから今の岡村ちゃんの快調っぷりは本当に嬉しい。
2013年に発売された『ビバナミダ』から順調にリリースが続いている。
心から岡村ちゃんおかえり!と言いたい。
岡村靖幸の音楽はPOPアートのようである
岡村ちゃんは音楽オタクだと思う。
そしていろんなことに対して好奇心旺盛。
岡村ちゃんの音楽はあらゆるジャンルの音楽の要素がちりばめられている。
音作りがほんとにマニアック。
思わずニヤリとする。
いろんなアーティストがリスペクトする人の名前に岡村靖幸の名前が上がるのも不思議ではない。
岡村ちゃんの魅力にはまるとみんな岡村中毒になるのである。
治療には靖幸ちゃんのライブに行く以外にありません!
これからも是非、無理しすぎずに、でも頑張って活躍してほしい。